

人口減少・高齢化、技術革新、グローバル化、子供の貧困、地域間格差。
こういった社会の状況に対応しようとする山形県。教員に求める資質・能力も多岐に渡っています。山形の教育について理解を深め、しっかりと対策をしていきましょう。

試験の変更点
変更点はいくつかあります。
詳細はお知らせ(教員選考試験の変更点等)をご確認ください。
- 元職教員特別選考Ⅰ・Ⅱの新設
山形県の教諭をしていたもので、早期退職した人が対象 - 現職教員特別選考Ⅰ・Ⅱにおける年齢要件の変更
50歳未満(昭和48年4月2日以降生まれ)なら出願可能に - 加点制度の変更
・加点の上限が20点 → 高校40点・高校以外25点へと引き上げ
・特支小学部・中学部の志願者の免許の組み合わせの幅が拡大
・特支小学部・中学部の志願者は特定の免許による加点の追加
・高校教諭・助教諭の志願者は「情報」免許所有で30点の加点を追加 - 二次試験における実施内容の変更
・模擬授業の廃止 - 新型コロナウイルス感染症対応による試験内容の変更
・集団討議と保健体育教諭の実技試験における「水泳」を中止
受験生に有利な変更が目立ちます。一部の試験が行われないことにより、受験生の負担がかなり減ります。勉強や対策の時間が減り、試験時間も半減します。
山形県が採用時に求める教員の姿
「つなぐ ~いのち、学び、地域~」
のテーマのもと、山形県が採用時に求める教員の姿として、4つの教員像が挙げられています。
(オンライン説明会資料より)
1 児童生徒への深い教育愛と教育に対する強い使命感、責任感のある方
2 明るく心身ともに健康で、高い倫理観と規範意識を備え、法令を遵守する方
3 豊かな教養とより高い専門性を身につけるために、常に学び、自らを向上させる姿勢をもち続ける方
4 山形県の教員として、郷土を愛する心をもち、人とのつながりを大切にして、地域社会においてよりよい学校を築こうとする方
これらのことが求められています。
倍率と採用予定数
気になる倍率ですが、去年の合格者数と今年の採用予定数を比べて考えてみましょう。
山形県公立学校教員選考試験実施要項より。
校種 | 去年の合格者数 | 採用予定数 | 採用数 |
小学校 | 190名 | 約185名 | 減 |
中学校 | 85名 | 約85名 | 同程度 |
高校 | 36名 | 約25名 | 減 |
特別支援 | 30名 | 約35名 | 増 |
養護教諭 | 15名 | 約15名 | 同程度 |
栄養教諭 | 1名 | 若干名 | 同程度 |
合計 | 357名 | 約345名 | 減 |
小学校・高校で採用数が減り、特支では増えます。県全体で見ると採用数は絞られます。
気になる倍率ですが、去年よりも低倍率化することが予想されます。というのも次の理由があるからです。
・全国的に教員の人気が低迷している
・採用減だが、減少幅が小さい
採用数の減り幅は12人減ですが、全国的に教採の受験者数は減っています。採用数の減り具合よりも受験者の減り具合の方が多くなると考え、倍率は低倍率化すると予想されます。
志願者数と志願倍率は次の様に推移しています。
900人・2.3倍(R2年)→ 910人・2.5倍(R年)→ 834人・2.4倍(R4年)
採用数の多い(384人)R2年よりは高倍率となっていますが、受験者は減少傾向にあり、志願倍率は去年より少ない2.4倍となっています。
<追記>
志願者数が発表されました。
採用山形県公立学校教員選考試験【志願者数一覧】
志願者は去年よりも76人少ないです。全員が受験したなら、倍率は2.4倍になります。
ですが、実際には受験を辞退する人が出てくるので、倍率はここから下がります。去年の教採の全国平均が3.4倍ということを考えると、山形県の教採はかなり低倍率だといえます。
とはいえ、油断は禁物です。しっかりと対策を取った上で試験に臨むことが大事です。もし不安な方は他都道府県の併願を視野に入れるのもいいでしょう。経験とチャンス、選択肢を増やすことができます。
【日本全国】66自治体の情報を集めまくって気づいたこと
教採対策オススメ書籍
教採の対策方法はいろいろあります。
・講座を受講する
・先輩に見てもらう
・対策のサークルに参加する
などなど。
その中でもお手軽かつ効果的なのが書籍での学習です。
・必要な知識が体系的にまとめられている
・1人で学習できる
・時間や場所の制限がない
・安い
と、メリットはたくさんあります。
もちろん本を読むだけでなく実際の練習は必要ですが、
読書で知識を学ぶ → 練習 → 読書 → 、、、
というサイクルをしていけば、練習の効果は倍増していきます。
教採対策のオススメ本をまとめています。
ぜひこちらも参考になさって下さい。
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合格したいなら必読の教採オススメ書籍まとめ
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作文試験
第二次選考試験で作文試験が実施されます。
- 50分
- 800字以内
- 50点
50分で800字以内です。
時間に対して厳しい文量ではありませんが、余裕があるとも言えない時間です。テーマについて考察し、自分の経験を絡め、何を書いていくかを決めていきます。整った構成で書けるようにするには、ある程度の時間を必要とします。本番までには練習を重ねて、客観性や一貫性のある文章が書けるようにしておきたいところです。
例として設問を見てみましょう。
令和3年 小論文テーマ
引用 山形県公立学校教員採用候補者選考試験
次の中から選択
・主体的な学びの視点に立った授業とは
・信頼される教員になるために大切なこととは
・個を尊重しながら協調性を育む教育とは
ここで重要なのは
- 問題の把握
- 問題に対する取り組み
- 関連する自らの経験
これらを最初に考えることです。
最初の5~10分くらいなら時間を割いて考える価値は多いにあります。最初に文の構成を決めることで、文章の内容がブレにくくなり一貫性のある論文が書けるようになるからです。
論文が苦手な方は段落の見出しだけ考える練習をするのがオススメです。見出しだけなので短い時間でも練習することができます。
また、選考基準は以下の通りです。
- 「課題把握」
- 「文章構成・表現」
等
小論文の書き方ですが、何度も合格小論文を生み出した書き方を詳しく解説しているサイトが参考になります。
合格した小論文を無料公開している記事もあるので、書き方の参考になるでしょう。
「10回合格してわかった~合格できる教採小論文の対策」
また、小論文対策のオススメ書籍をまとめています。
こちらも勉強の参考にしてみてください。
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筆記試験対策オススメ本3選
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面接試験
山形県では第二次選考試験で個人面接(2回)が行われます。
評価の観点
- 「教師としての姿勢」
- 「広い教養と豊かな感性」
- 「高い倫理観」
- 「教育への理解」
等
(参考)第一次選考試験
第一次選考で集団討議が行われていた時の情報です。現在では行われていませんが、参考に掲載しています。
- 集団討議
- 5人グループ
- 30分
- 面接官2人
- 50点(第一次選考試験 300点中)
過去の質問内容
- 仕事につかない、すぐに離職するなど、若者の社会適応が課題となっている。子どもたちが将来、社会の一員として自立できるように、どのような取り組みが必要か
- 山形県の教育目標にある「かかわり」について、子ども、家庭、地域とのかかわりについて、どう指導するか
- 子どもによるネット上での誹謗中傷やいじめ、犯罪行為などの問題が発生している。子どもの情報モラルを醸成し、情報活用能力を育成するために取り組むべきことを発達段階を踏まえて討議せよ
- 生きる力を身につけるには、どのようにすればよいのか
- 教員としての働き方について、どのように考え、どのようなことを意識する必要があるか
- 子どもたちが、将来、自立して生きていくためには、働くことの意義を適切に理解し、主体的に進路を決定できるようにしていくことが重要である。一人ひとりの勤労観や職業観を育てるために、教員としてどのようなことに取り組んでいくべきか
- 子どもにとって、魅力のある先生とはどのような先生か。あなたが考える教員としての魅力とは何か。あなたが目指す教員になるためにはどんな力を身につけていくべきか。具体的な教員像を示しながら討議せよ
第二次選考試験(個人面接)
- 個人面接
- 15分
- 面接官3人
- 210点(個人面接1)
- 140点(個人面接2)
過去の質問内容
- <個人面接1>
- 山形県を志望した理由は
- 教員を志望した理由は
- 人間性を高めるために何をしていきたいか
- 子どもの時、どんな子どもだったか
- 現在の子どもは自分が子どもだった頃と何が違うか
- ボランティア経験は
→そこから何が学べたか - 授業中に集中できず、離籍する子どもにどう対応するか
- 暴力をふるう子どもにどう対応するか
- 人生で一番感動したことは
- 教育実習で学んだことは
- 教育実習で教員に向いていると思った点は
- 向いてないと思った点は
- 学級になじめない子へどう支援するか
- 山形県の学力の状況は
- 山形の「探究型学習」について
- 集団か個ではどちらを重点的に育てたいか
- アルバイトやパートの経験から学んだことは
<個人面接2> - 勤務地の希望はあるか
- 職場で人間関係で気をつけていることは
- 教員の不祥事をどう思うか
- 飲酒運転はどう防げばよいか
- 子どもからどんな先生と思われていると考えるか
- 友人からどんな人だと思われているか
- 子どもを叱る時に意識していることは
- 教員が子どもに謝ることについてどう思うか
- 保護者が「先生にだけお話ししますが…、」と前置きをして相談してきたらどうするか
- 好きな教科とその楽しさとは
面接の対応力を上げるには
教採は面接でいかに高得点を取るかが重要になってきます。
面接は
・配点が高い
・講師をすることで筆記は免除になるが、面接は免除にならない
・自治体によっては、筆記で合格最低点さえ取れば面接の点数順に一次合格になる
と、教採の中でも非常にウエイトの高い試験です。
どれだけ面接を攻略していくかが教採合格の鍵を握ります。
面接が苦手な人もいれば高得点を取る人もいますが、それぞれに共通していることがあります。
それは相手に好印象を持ってもらえるかどうかが大きな要因になっています。
どれだけ正確で深い知識をもっていても、悪い姿勢でボソボソ話していては印象としては悪く、合格は難しいです。
面接で高得点を取る人、思った以上に点数が伸びない人。
それぞれの特徴については次の記事が大変参考になります。
無料で一部読めるので、ぜひ参考にしてみてください。
>>教採で落ちない面接 高得点を取る人の共通点と対策法

(参考)模擬授業
模擬授業のポイント、留意点など
評価の観点
- 「構成力」
- 「表現力」
- 「対応力」
等
について評価する。 - 150点

山形県が着任時の教員に求める姿や、今後必要になる資質・能力がまとめられています。山形県が求める資質・能力が分かれば、面接試験での受け答えも変わってくるでしょう。
山形県教員「指標」
また、こちらも山形県の教育を知るのにいい資料です。
山形県教育、学術及び文化の振興に関する施策の大綱
第6次山形県教育振興計画(後期計画)(概要版)(PDF:1,241KB)