

栃木県は年齢制限の大幅な緩和や適性検査の廃止など、受験の門戸を広げています。それだけ優秀な人を確保したいという表れです。これは合格をつかむ大きなチャンスです。

試験の変更点
変更点はいくつかあります。
詳細はとちぎの求める教師像をご確認ください。
- 受験可能年齢の引き上げ
- 小学校・特支小学部の学力試験を変更
- 「情報」の特別選考を追加
- 「情報」の加点が10点に引き上げ
- 小中両方の免許所有に加点
- 出願は電子申請のみ
栃木県の求める人物像は
とちぎの求める教師像
~自信と誇りをもって子どもたちと向き合える教師~
として求める人物像を3つ掲げています。
(とちぎの求める教師像より)
〇人間性豊かで信頼される教師
教師には、子どもたちの人格形成に関わる一人の人間として、豊かな人間性や社会性、常識と教養、礼儀、コミュニケーション能力などの資質が求められる。
子どもたちが自分自身の目標に向かい、自己実現と社会的自立ができるよう、保護者や地域と連携し、教師自身が学び続ける姿勢を示すことが信頼につながる。
〇幅広い視野と確かな指導力をもった教師
教師には、研究と修養に努めながら幅広い視野と教養、そして、確かな指導力を身に付けることが求められる。
これからの社会を生きる子どもたちには、生きる力を支える確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和のとれた育成が求められる。
〇教育的愛情と使命感をもった教師
教師には、自分の仕事に対する使命感や誇り、子どもに対する愛情や責任感をもつことが求められる。
教職に対する誇りや、子どもたち一人一人の個性や能力を伸ばそうとする深い愛情は、様々な教育課題を乗り越える力となり、それが子どもの成長とともに教師自身の成長にもつながる。
これらのことが求められています。
倍率と採用予定数
気になる倍率ですが、去年の合格者数と今年の採用予定数を比べて考えてみましょう。
校種 | 去年の合格者数 | 採用予定数 | 採用数 |
小・中学校 | 小271名 中146名 | 300名程度 | 減 |
小・中学校 (特支学級経験) | - | 15名程度 | - |
小学校(英語) | - | 30名程度 | - |
高校 | 60名 | 50名程度 | 減 |
特別支援 | 40名 | 40名程度 | 同程度 |
養護教諭(小・中) | 10名 | 若干名 | 減 |
養護教諭(高・特) | 1名 | 若干名 | 同程度 |
合計 | 528名 | 435名程度 | 減 |
採用予定数は去年の合格者数よりも大幅に減り、全体で100名近く採用が減ります。特に小中学校では70名近くの採用減となります。
栃木県は採用予定数よりも多く採用がされる傾向がありますが、これだけ大幅に減ると実際の採用数は去年よりも減るでしょう。
気になる倍率ですが、去年の3.6倍よりも上がると予想しています。
しかし、倍率が大きく跳ね上がるとは考えにくいです。というのも、教員の人気が低迷していることもあり、受験者が減っているからです。
過去の栃木県の受験者数と倍率は以下のように推移しています。
2086人・3.6倍(R2年)→ 1926人・3.6倍(R3年)
教員人気の低迷による受験者数の減少は、栃木県にも見られます。
採用予定数は大きく減るものの、受験者数が減ることにより倍率の上昇はそこまで大きくならないという考えです。
ですが、栃木県の3.6倍という倍率は教採の全国平均である3.4倍を超えています。しっかりと対策を取った上で試験に臨みたいところです。もし不安な方は他都道府県の併願を視野に入れるのもいいでしょう。経験とチャンス、選択肢を増やすことができます。
【日本全国】66自治体の情報を集めまくって気づいたこと
教採対策オススメ書籍
教採の対策方法はいろいろあります。
・講座を受講する
・先輩に見てもらう
・対策のサークルに参加する
などなど。
その中でもお手軽かつ効果的なのが書籍での学習です。
・必要な知識が体系的にまとめられている
・1人で学習できる
・時間や場所の制限がない
・安い
と、メリットはたくさんあります。
もちろん本を読むだけでなく実際の練習は必要ですが、
読書で知識を学ぶ → 練習 → 読書 → 、、、
というサイクルをしていけば、練習の効果は倍増していきます。
教採対策のオススメ本をまとめています。
ぜひこちらも参考になさって下さい。
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合格したいなら必読の教採オススメ書籍まとめ
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作文試験
第2次試験で作文試験が実施されます。
- 50分
- 600~1000字以内
- ABCの3段階評価
50分で600~1000字以内ですので時間に余裕はありますが、油断はできません。
題について自分の経験を絡め、何を書いていくか。構成を決めて書けるようにするには、ある程度の時間を必要とします。本番までには練習を重ねて、客観性や一貫性のある文章が書けるようにしておきたいところです。
例として設問を見てみましょう。
令和3年 小論文題
引用 栃木県教育委員会 令和4年度公立学校教員採用選考試験
小学校・中学校
ICT機器が身近になり、学校教育においても様々な場面で活用されている。一方で、SNS等の不適切な使用により、児童生徒がトラブルに巻き込まれるケースも後を絶たない。そのような中、児童生徒の「情報活用能力」(情報モラルを含む。)の育成を図ることが重要であると言われている。
そこで、あなたが教員として、児童生徒の「情報活用能力」(情報モラルを含む。)を育成するために具体的にどのような取組をしていきたいか、理由を含めて書きなさい。
本県の児童生徒の体力を見ると、運動時間の減少や、運動をする子としない子の二極化等が懸念されている。そこで、小学校において体力向上を推進するにあたり、あなたが大切だと考えることは何か、理由を含めて書きなさい。
また、児童の体力向上に向けて、日々の教育活動の中でどのような取組をしていきたいか、具体的に書きなさい。
小学校・中学校以外
児童生徒がよりよく自己実現を図っていくためには、社会との相互関係を保ちつつ、自分の未来を創る力を育むことが重要である。あなたの考える「自分の未来を創る力」とは何か。また、その力を身につけさせるためにどのような取組をしていこうと考えるか書きなさい。
ここで重要なのは
- 問題の把握
- 問題に対する方策
- 関連する自らの経験
これらを最初に考えることです。
最初の5~10分くらいなら時間を割いて考える価値は多いにあります。最初に文の構成を決めることで、文章の内容がブレにくくなり一貫性のある論文が書けるようになるからです。
論文が苦手な方は段落の見出しだけ考える練習をするのがオススメです。見出しだけなので短い時間でも練習することができます。
小論文の書き方ですが、何度も合格小論文を生み出した書き方を詳しく解説しているサイトが参考になります。
合格した小論文を無料公開している記事もあるので、書き方の参考になるでしょう。
「10回合格してわかった~合格できる教採小論文の対策」
また、小論文対策のオススメ書籍をまとめています。
こちらも勉強の参考にしてみてください。
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筆記試験対策オススメ本3選
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面接試験
栃木県は2次試験で個人面接・集団討論が行われます。
個人面接
面接での
評価の観点
面接委員(どのような人が面接官をするのか)
選考基準
といったことは詳しく公表されています。
(栃木県公立学校新規採用教員選考基準より)
- 面接委員…民間企業の人事担当者等、教員以外の行政職員を含む4名
- 面接時間等…1人20~25分程度
- 評価の観点…主として指導力・堅実性・判断力
- 総合評価…ABCDEの5段階評価
過去の質問内容
- 志望動機
- いじめをなくすためにどうするか
- 学習意欲を高めるために、どうするか
- 普通教室における特別支援教育について、具体的な場面を挙げ、心がけていきたいこと
- 不登校の児童がいる。子ども、保護者にどういった対応をするか
- 教員になったとき、どのようにスキルアップをしていくか
- 優しい先生と厳しい先生どちらになりたいか。理由もあわせて
- どんな気持ちで待っていたか
- 確かな学力についてどう考えているか。また、それを踏まえどう指導するか
- 学力が低い児童に対する指導は
- 卒業論文のテーマは
- あなたが教員に向いていると思う所は
- 理想の教師は
→それに近づくために努力していることは - 今まで受けた指導で印象に残っていることは
- 楽しく面接できているか
- 子どもは好きか
- 子どもには相性の合う子も、合わない子もいるが、どう関わっていくか
- 子どもとどう信頼関係を築いていくか
- 体力に自信はあるか。
- 学校の教員となると体力は必要だが、本当に大丈夫か
- 勤務地はどこがよいか
- 教師として向いているところ
- どのように楽しい授業をつくるか
- 算数(数学)を勉強する良いところは
→子どもに話すつも言ってみて - パソコンを使うにあたって、弊害と利点
- 担任は楽しいだけじゃ通用しない、どうする
- 他人に誇れるところはなにか
- 一番苦労したことはなにか
- 挫折経験は
- 今日は練習の成果は出たか
- 考えていた質問はでたか
集団討論
- 面接委員…民間企業の人事担当者等、教員以外の行政職員を含む4名
- 面接時間等…1グループ(10人程度)40~50分程度
- 評価の観点…主として協調性・対応力・堅実性
- 総合評価…ABCDEの5段階評価
討論のテーマ例
- 主体的に学ぶ態度の育成について
- いじめの早期発見と対策
- 学校における安全の確保について
面接の対応力を上げるには
教採は面接でいかに高得点を取るかが重要になってきます。
面接は
・配点が高い
・講師をすることで筆記は免除になるが、面接は免除にならない
・自治体によっては、筆記で合格最低点さえ取れば面接の点数順に一次合格になる
と、教採の中でも非常にウエイトの高い試験です。
どれだけ面接を攻略していくかが教採合格の鍵を握ります。
面接が苦手な人もいれば高得点を取る人もいますが、それぞれに共通していることがあります。
それは相手に好印象を持ってもらえるかどうかが大きな要因になっています。
どれだけ正確で深い知識をもっていても、悪い姿勢でボソボソ話していては印象としては悪く、合格は難しいです。
面接で高得点を取る人、思った以上に点数が伸びない人。
それぞれの特徴については次の記事が大変参考になります。
無料で一部読めるので、ぜひ参考にしてみてください。
>>教採で落ちない面接 高得点を取る人の共通点と対策法


栃木県は選考基準を公表しているので、1次試験の合格人数や2次試験の合格基準などが分かります。その分フェアで透明性の高い試験だといえます。教員育成指標の概要なども合わせて、資料をよく見て対策を練っていくことが合格への道筋となります。
栃木県教員育成指標(教諭)
栃木県教育振興基本計画